先日キムタクが、
「あなたにとってのヒーローってどんな人ですか?」
って、聞かれていた。
テレビドラマの番宣だ。
刑事役らしい。サーファー刑事か!
そんなことはどうでもいいのです。
キムタクの応えをボンヤリ聞きながら、自分にとってのヒーローって
誰かな〜って考えた。
不特定多数のヒーローの中で、特にヒーロー度数最高得点ランキングの人がいる。
レイモン・サヴィニャック。
http://www.odeon.jp/savignac/
http://www.oi-bijutsukan.com/item-0507001.html
フランスのポスター作家だ。
ポスター作家という職種は今はもう無く、グラフィックデザイナーとか
アートディレクターの範疇になってしまうけど
当時はクライアントからダイレクトに引き受けていたらしい。
マーケティングや競合プレゼンテーション、コンペなどなかった訳だから
クライアントもその作家の才能に社運を任せていたみたいなとこもあるんだろうな。
そう考えると、ポスター作家のすごさは並々ならぬものなんだー。
まあ、いい時代といえばそうだけど、確立してきた道程は
細分化された仕事にはない骨太のストーリーが詰まっていそうだ。
サヴィニャックの魅力は何といってもそのイラストにある。
ユーモアとウイットに富んでいて、シンプルで解りやすい!
シンプルな線の中にも彼独自の世界観、人生観がネリネリと練り込んであって
じんわりと味わい深く伝わってくる。
芸術とはほど遠い家庭に産まれ育ち、決して裕福とは言えない状況の中でも
彼の中の作品に対する光はしぼむことはなかった。
センス、ユーモア、勤勉さを作業着のポケットにしのばせて、いつもその光をまっすぐ見つめていたんだと思う。
遅咲きのデビューだけど、その遠回りしてきた道のりはけして無駄なことではなかったんだと
彼の絵を見ればうなずける。
人間としてもグーなキャラで、いつもラブラブの奥さんと友人を大切にいしていたようだ。
町の人にも愛されていたらしい。
(テレビの人気者になるより、案外自分の町の人気者になるのは難しいことかもしれないなー)
ある時、アルプスに行き、サヴィニャックは皆でケーブルカーに乗っていた。
でも、外との気温差でガラス一面がくもってしまった。
まわりの景色が見えないと皆がっかりしていたその時、背伸びをしながらくもったガラスに
指ひとつでさらさらとアルプスの山並みを描いたそうだ。みんな、拍手喝采!
まったくチャーミングな男だぜ。
長々と書いてしまったけど、そんないろんなんが詰まったサヴィニャックの絵が大好きだ。
そして少しでもサヴィニャック魂を自分の中にもキーポンしてたい。