トラウマな夏 (上)

ある夏の出来事でございます。
2人の姉妹がおりました。女の子は、7歳、妹は4才くらいでしょうか。
(トトロのさつきちゃんと、めいちゃんくらいのイメージを推奨)
この姉妹とひいおばあちゃんでお墓参りに出かけたのでございます。
まさか、この時点では、これから悲惨な惨劇がそこで起ころうとは
誰も予想だにしなかったのです。
お墓は、小高い山の頂上にありました。
お墓につくと、女の子はいくつか並ぶお墓を横切り
一番端のお墓にお線香をあげようとしていました。
妹は、はやくお姉ちゃんに追いつかねばならんと思い走り出します。
「おねーちゃーん!!」
その時、
地の底を這うような鈍い羽音とともに、
無数のスズメバチが巣から飛び出して来ました。
驚いたひいおばあちゃんは
「ハチがおるけえ、戻りい〜」必死に叫びます。
妹は、聞く訳もなく走り続けます。
女の子も
「こっちに来たらいけん〜!刺されるよ〜」
無数の羽音の中、悲痛な叫びがこだましました。
「うぎゃ〜!」
心配していた通り、見事に妹は背中を刺されたのでございます。
女の子は
予見した通りのいつもの妹の行動パターンにゲッソリしながらも
今回は、マジでやばいことになった。。と
心臓が羽金のように打っておりました。
ひいおばあちゃんは
「わたしゃあ、歯が悪りいけえ、お前が毒を吸い出してやってくれえ。。」
女の子は心の中で
毒を吸って自分が死ぬか、毒を吸わないで妹が死ぬか
を考えました。
わずか、7歳にしてこの究極の選択を瞬時に熟考しなければならない窮地に追いやられたのですっ。
つづく。。。